路上やっているときや初対面の人に訊かれがちな野暮な質問に答えます

野暮な質問1『バンドでメジャーデビューめざしてるの?』

アンサーは「あなたに知ったこっちゃない」です。感情が、思考が、社会になじめなくて、言葉にするにも限界があって、どうしようもなくなって、どこかに嘔き出し口を求めた時に在ったのが今のバンドメンバーと自分の歌だっただけ。それはとても大事なもの。どうなろうとかどうしたいとかじゃなくてひたすら“今”をやり続けるだけだし、「今」、「バンド」が、「やりたくなったから」やってるだけ。

わたしは音楽がとくべつ好きなわけじゃない。おんがくのことよくわからない。ギターも歌もむずかしいし、たくさん人と関わらないといけないから疲れるし、人に見られるのがこわいし。でも自分を表現できる場がライブしかなくて、バンドは楽しいこともむかつくことも全てがごちゃまぜで精神衛生上悪くて滅茶苦茶なんだけど、“今この感情をどうにかしないと死んでしまう”っていうほとんど強迫観念だけによって、現在のバンドはやっています。

「メジャーデビューめざしてます!」とか声高らかに言ってるバンドマンはメジャーデビューのために、有名になるために、音楽をやってるのかな。おんがくの動機は“メジャーデビュー”なのかな。

おとなのせかいはわかりませんが、自分の中から湧き出てくる「やりたい」ことや「嫌だ」という感情を捨てて(抑えて?)“責任感”に追われてまで有名になりたいなんて、全く思っていません。そういうのはわたしにはできない。

ただ「責任」という言葉に呪われ続け、責任感は育たないまんま、20歳をとうに超えてしまった。一緒にいてくれてる人たちはわたしに「責任」を求めないでほしい。自分勝手なわたしを選んだのはあなたです。そこにあなたが責任持てないならば、仲良く責任放棄しようよ。

少なくとも今のともは何にも責任を持てない。自分のことも、周りのことも、たとえば子どもを産んだとしてその命にも。だからなるべくいざという時に迷惑をかけそうな人は、ともが平気なうち、今のうちにたくさん迷惑かけられていたい。前払い制ということで。

わたしの現在(いま)が未来に繋がるのならそれはまちがいなく幸せなことだけど、今日も明日もたしかじゃないのに未来に希望を持つことなんて傲慢すぎて今のともかにはとてもできないです。ただ今日を生きているだけだから、明日になれば、どこか遠くへ逃げるかもしれないよ。

これ、わたしのいのち、あなたに知ったこっちゃない。

責任感が無い、と散々叱られてきた人生でした。年齢的にもうおとな、だから自分に課せられた「責任」を全うできなくては、社会不適合者、ダメ人間。その認識に誤りは無いです。だけど、わたしが自分の責任感の無さによってどこまで堕落しようとも、あなたには一切関係がない、別の人生だし、極限状態に陥ったとき、あなたはわたしを助けてくれないし、わたしもあなたを助けてあげられないでしょう。別の人生を生きているという前提のもと、わたしのことを気にかけて愛してくれ。

「ジョーシキ」に惑わされてる“おとなもどき”ばっかりで、そういう人間がこの狂った世界を支えてる。ごめんね。ありがとうね

 

 

野暮な質問2『彼氏いるの?』

いるよ。同棲してる

 

 

野暮な質問3『歌ヘタじゃない?』

巧(うま)くはないことを認識しています。そしてそれは音楽をやる上で向上させるべき技術ではあると思います。

だけどひとつだけ、わたしには“聴きよい歌”をうたおうという気持ちが一切ないです。

誰かのどうしようもない感情がともかのどうしようもなかった感情と重なって、悲しくなったり嬉しくなったりしてくれればいいなと思ってうたっているので、“聴きよい歌”はわたしがのぞむところではない。聴きたくないなら聴かれなくても全然かまわない。もし聴きたくないのに耳に入ってしまうということがあれば、どうぞミュートなりブロックなり低評価なりしてください。それもわたしの一部になる。

それからわたしは自分のうたごころには自信があります。技術、という意味のうたごころではなくて歌をうたう心持ち、感情、のうたごころね。

だからライブに来たらいいと思う、1回くらいさ。こんなにどうしよもない人がいるんだなという優越感に浸るでもいいからさ。

 

 

 

今後も野暮な質問あればすぐ文章にする。内省にもなる。

自分のきもちが「人に見られたい」---その中には必ず「こわい」気持ちが共存しているが---に傾いているうちは、たくさん見られることをやっていよう。

ないしょの手書き日記は、数年前に流行った5年間分を見返せるダイアリーがおもしろそうなのでビレバンで買ってこそこそ書こうと思ってる