人体のふしぎ
妊娠がわかってからというもの、とにかく男が気持ち悪くて仕方ない。
父親になる男に対しての嫌悪は一切無いけれど、街、電車、大学、そこらじゅうですれ違う男どもが気持ち悪くて仕方ない。老若問わず、おそらく精通を迎えたであろう歳を超えている男といういきものすべてが気持ち悪い。服の裾が触れ合うのすら耐えられない。
これが雌の防衛本能だろうか。
つい数ヶ月前まで誰彼構わず笑顔を振り撒いていたはずなのに、女のからだというものはうまくできている。
その点、男は一生を通して自分のからだの変化をここまで感じることが無いのだから、人体の不思議を経験できずに死んでゆくなんて可哀想だ。
こんな不思議を経験できるのなら、女に生まれてよかった。
女同士のコミュニケーションだってなんとかとらなくちゃいけない。女はそういうふうにできているのだから